『英語のバカヤロー!』 | 札幌西区個別指導学習塾・家庭教師 | 神谷塾|札幌西区の個別指導学習塾・家庭教師なら神谷塾

『英語のバカヤロー!』

…という本です。副題「『英語の壁』に挑んだ12人の日本人」。古屋裕子編、223頁、Earth Star Entertainment、1300円+税。
英語のバカヤロー
題名は、養老孟司氏(解剖学者)がインタビュー中につぶやいた言葉「もう、英語なんてばかやろうと思うんですよ」から。東大の学生だった40年前、パソコンもインターネットもない時代に英語論文を書くため、気の遠くなるような時間がかかったことから来ています。
養老氏のほか、登場順に
竹中平蔵(経済学博士)・中村修二(電子工学者)・上野千鶴子(社会学者)・板東眞理子(昭和女子大学学長)・浅野史郎(前宮城県知事)・明石康(元国連事務次長)・本川達雄(生物学者)・酒井啓子(中東研究者)・松沢哲郎(動物心理学者)・古川聡(宇宙飛行士)・福島孝徳(脳神経外科医)
の合計12人の、英語にまつわる苦労話がまとめられています。
苦労しているとは言っても、みな留学生の資格試験には通るくらいの実力はある人たちです。その上で、アメリカなり海外に仕事や学問の現場を持ち、英語でコミュニケーションをし、仕事をし、討論する、というレベルになると、泣けるくらいの苦労があったということです。
コミュニケーションではネイティブにはかなわない、日本語なら使えるアドリブや日本語なら出せるニュアンスが英語ではできない、ということはかなりの人が述べていて、上野氏も「私は英語圏で勝負するのを断念した」と言います。
ところで、海外で仕事をする、というと、どこもここも英語がタイヘンという印象がありますが、実はこれもいろいろではないでしょうか。たとえば中村氏はカリフォルニア大学、明石氏は国連、古川氏はNASAと、みなアメリカ合衆国ですが、英語そのものの“ウマヘタ”からいちばん自由なのは国連のように思えます。大学の教授は、英語の講義がわかりにくくてはだめだし、易しすぎてもだめ。NASAでは絶対多数のアメリカ人に混ざって働くことになりますし、管制官とのやりとりには相当の反射神経が要るようです。
国連というのはさまざまな国籍、したがってその母語も様々な人がチームを組んで働いている場なので、つかう言葉が英語だとはいっても、それぞれのお国柄を反映した英語が通じているのです。通じなくてはならない。それよりももっと重大なことがあるのですね。
明石氏の言葉を借りれば、
「なまりのない英語には、魅力がありません。なまりはそれぞれの人のアイデンティティであり、現代のようにグローバル化が進行した世界では、アイデンティティを主張することはむしろ注目すべきことです」
「英会話において、私たちは逆立ちしても、アメリカの子どもにもイギリスの赤ん坊にもかないません。また、そういう勉強をやる必要もない。自分にきちんと教養があり、何か自分の熱く語れる世界や、物の見方とかを持っているならば、たとえ英語はカタコトでも相手にすごいなと思わせることは可能だし、自分の下手な英語にも懸命に聞き入ってくれるはずです」
「人間と人間との相互理解、真剣勝負の対話には、語学力も大事ですが、それは二義的なもので、自分の知識や教養、世界観とか、人生に向き合う真剣さだとか、そういうすべてをひっくるめて、人間としての総合力が問われることを忘れてはならないと思います」
--これから英語を学び、国際的な現場で仕事をしたいと希望する青少年には、至高のアドバイスであろうと思います。
このほか、松沢氏のインタビューも参考になりました。2点だけご紹介しておしまいにします。
(アメリカに留学中、アイスクリームスタンドで「ヴァニラ」(vanillaは「ヴァイナラ」)が通じなかったり、郵便局で「マンハッタン」が通じなかったりして恥ずかしかったが)「これは自分の発音の洗練が足りないだけであって、知性に問題があるわけではないから、それを気に病むことはありませんでした」
「中学生、高校生のときに学校英語でガンガン語彙を詰め込んだことがとても役に立った。学校英語がダメという人はたぶん、学校できちんと勉強をしていなかったのではないでしょうか
英語では苦労していなさそうな気がする人たちも、それぞれ大変な思いをしてきたのだ。そう思うと、驚いたり安心したり。英語を学び始めて間もない中高生よりは、ずっと英語を勉強してきたけれどなかなか上達しないなァ…と溜息をついている大人にとって、貴重な一冊であろうと思います。

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