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北海道公立高受験作法(1) 数学の「記述式」 その1

北海道公立高入試の数学では答のほか答を導くまでの筋を記述する問題があります。これらの問題への対処のしかたについて,何回かに分けて書いてみたいと思います。
数学の記述問題は,例年,
[1] 連立方程式を解く過程。計算のしかたを書く。
[2] 関数の問3。直線で囲まれた図形の面積や関数の比例定数を求めたりする。
[3] 図形の相似または合同の証明。
[4] 裁量問題に1問。ありがちなのは立体の体積の計算とか。

というラインナップになっていて,標準問題校では[1]~[3],裁量問題校では[1]~[4]が課されます。
高校入試の話題ではありますが,高校入試対策は高校での学習の準備という側面もあり,数学の記述対策はまさにこれです。高校の試験も大学入試も数学は記述式が普通だからです。高校数学をやっていくための準備としても,高校入試数学の記述にきちんと対応できるようにしておくといいでしょう。
道コンでは,[1]連立方程式は中2の8月から,[2]関数と[3]図形はおおむね中2の1月から出題されます。道コンが近づいたらその準備をしながら数学の記述というものに慣れ,入試本番を迎えるころには万全になっている…といいですね。
重要なのは「採点する人の身になって書く」ということです。読み易い字を書くのはもちろんですが,採点者(高校の先生)が安心してマルを付けられるような答を目指しましょう。国語や英語についてもこれは言えます。
さて,今日はまず[1]連立方程式について。2019年度入試の正答例はこうなっています。
(方程式)
x+y=-2
x-y =-10
(計算)
x+y=-2 ……① ★1
x-y =-10 ……② ★1
①+②から 2x=-12, x=-6 ……③ ★2
③を①に代入して, y=4
(答) x=-6, y=4

配点は全部で4点。方程式が完全に書けていれば2点,計算でx,yの一方が出ていればさらに1点,最後まで解けていれば満点,となっています。このぐらい簡単だと暗算で答が出てしまうという人も「計算」を書かなくては得点できません。
連立方程式の「計算」欄には,いつもやっているような(中2で指導されるような)計算を書いておけばいいでしょう。ただし,入試は時間との戦いでもあります。ここであまり時間をかけたくありません。そこで「手を抜く」というと聞こえは悪いのですが,できるだけ簡略に済ませましょう。
まず,方程式2つに番号①②を付ける作業(★1)は「方程式」の解答欄でやってしまって構いません。つまり「計算」欄に同じ式を改めて書く必要はなく,「計算」は★2から書き始めればよろしい。また,「①+②から」は「①+②」でわかりますし,「③を①に代入して」も「③を①に代入」でわかります。それよりも<代入した式>を書いたほうがいい。すると,上の正答例はこうなります:
(方程式)
x+y=-2 ……①
x-y =-10 ……②
(計算)
①+② 2x=-12, x=-6 ……③  ★3
③を①に代入 -6+y=-2, y=4  ★4
(答) x=-6, y=4

ぐっと簡略かつ安全になりました。
ところで,★3★4のようにある式から次の式が導かれる場合は,数学の作法としては
①+② 2x=-12
     x=-6 ……③
③を①に代入 -6+y=-2
         y=4

のように改行するのが普通です。スペースの都合で横に並べるのであれば,
①+② 2x=-12, ゆえに x=-6 ……③
③を①に代入 -6+y=-2, ゆえに y=4

のように「ゆえに」などの接続詞か,「ゆえに」を意味する記号「∴」を使うのが正しい。数学のひとつの式はひとつの文に相当するものだからです。
そう堅いことを言うなよ…という声が聞こえてきそうですが,採点するのは高校数学の先生であることをお忘れなく。高校数学では,というより大学入試数学の指導では,この「堅いこと」を重視しなくてはならない場面が多い。それを日常的にやっている高校数学の先生が,中学数学の採点だからといって自らのスタンダードを易々と曲げられるとは思えません。
いや,答案の中には「行き届かない」ものが多すぎて,スタンダードを曲げざるを得ないのが採点の現場なのでしょう。でも,そういう「行き届かない」答案が多い中にあって,数学の作法にきちんと則ったものは必ずやキラリと輝いているはずです。だからといって得点が増えるわけではないけれど,採点する先生がその生徒の答案に関しては気分よく仕事をしてくれるのは間違いありません。

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