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山本太郎『感染症と文明』

2020年3月11日付『朝日新聞』に長崎大学熱帯医学研究所教授・山本太郎氏へのインタビューが載っていました。いま進行中の現象についての深い理解につながると思えるものですので,一部紹介させていただきます。(無断掲載お詫びします)
現在知られる感染症の大半は,農耕以前の狩猟採集時代には存在していなかった。感染症が人間の社会で定着するには,農耕が本格的に始まって人口が増え,数十万人規模の都市が成立することが必要でした。
私たちは感染症を「撲滅するべき悪」という見方をしがちです。だけど,多くの感染症を抱えている文明と,そうではない文明を比べると,前者のほうがずっと強靱だった。
人類は天然痘を撲滅しましたが,それにより,人類が集団として持っていた天然痘への免疫も失われた。それが将来,天然痘やそれににた未知の病原体に接したときに影響を与える可能性があります。
多くの感染症は人類の間に広がるにつれて,潜伏期間が長期化し,弱毒化する傾向があります。病原体のウィルスや細菌にとって人間は大切な宿主。宿主の死は自らの死を意味する。病原体の方でも人間との共生を目指す方向に進化していくのです。感染症については撲滅よりも「共生」「共存」を目指す方が望ましいと信じます。
グローバル化が進む現代は感染力の強い病原体にとって格好の土壌を提供する。流行している地域によって状況が違うので,新型コロナウィルスの真の致死率は明らかではありません。しかし,世界中に広がっていく中で弱毒化が進み,長期的には風邪のようなありふれた病気の一つとなっていく可能性があります。
一方で,逆に強毒化する可能性も否定できない。原因ははっきりしませんが,1918~20年に流行したスペインかぜはそうでした。
感染が広がりつつある現時点では,徹底した感染防止策をとることで,病気の広がる速度を遅くできます。さらに言えば,病原体の弱毒化効果も期待できる。新たな宿主を見つけづらい状況では「宿主を大切にする」弱毒の病原体が有利になるからです。集団内で一定以上の割合の人が免疫を獲得すれば流行は終わる。今,めざすべきことは,被害を最小限に抑えつつ,私たち人類が集団としての免疫を獲得することです。

以上のお話は,同氏の『感染症と文明』(岩波新書,2011年)にさらに詳しく書かれています。<感染症の世界史>の部分が多いのですが,そこは後にして,まずプロローグ「島の流行が語ること」とエピローグ「共生への道」,付録「麻疹流行の数理」だけでも一読すると,感染症の流行のメカニズムというものが具体的に見えてくると思います。
感染症と文明

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