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2022年度北海道公立高校入試について[国語・数学・英語]

2022年度の北海道公立高校入試についての感想です。

■国語
長めの記述問題に下書き欄が付いた。解答欄に書く前に下書き・推敲をせよということであろう。促されれば下書きをしようという気になる。下書きをしている暇がないほど解答を書くのに忙しい時期があったが,この点に関しては改善されていると言うべきか。それはさておき,文章を書くには論理の力が要るのだからチャーハンのレシピとか図書委員会の回答を書かせるのも良いが,文章を読解する力も論理の力であり,軽んじることはできないはずである。だから説明的文章(説明文・論説文)の出題がないのには大いに違和感を覚える。
[1] 小問集合。
[2] 文学的文章。素材はあさのあつこ『みどり色の記憶』から。
[3] 漢文。素材は『世説新語』から「華・王之優劣」。例年の古典に比べると素材も設問も難化した。本文中で「華歆→歆→華」「王朗→朗→王」と人物の表記が変わるので内容を掴みにくいが,問三を丁寧に解くことで本文の理解も深まり得点も可能になる。問四は華歆と王朗のどちらが(役人として?)優れているかを自分で判断して理由も書く。現代語訳はたとえばここにある。『世説新語』は中国南北朝時代の南朝宋の臨川王劉義慶が編纂した,後漢末から東晋までの著名人の逸話を集めた文言小説集(Wikipediaによる)。
[4] 実用文。図書委員会への要望に対して,委員の話し合いの内容を踏まえて回答を書く。百五字とやや長いが解答要件ははっきりしている(配点9点から 要件3つも見当がつく)ので,時間をかけて良い文を書くようにしたい。

■数学
予想を立ててそれが正しいことを説明(証明)するという新学力観だか何かに則った出題が大問[3][4]と2つも出ている。すっきりした普通の問題にできるものを不自然に変態させているという印象である。作問者はそういう要請に従って渋々書いているのかも知れないと思う。出題したいテーマなり素材があったとして,どういう形式でそれを料理するかは素材が導くところがあるはずであり,それを「はじめに形式ありきでそれに使えそうな素材を探す」という思想でやるから受験生にも「なんだコレ」と不快感を抱かせるような無残なことになるのである。今回は内容が平易だったので苦しんだ受験生は少なかったと思われるが,このタイプは状況を把握するのに骨が折れ,肝腎の「数学をする」ための時間やエネルギーが削がれることがあるので心配なところである。
[1] 小問集合。平易だが配点は27点もある。ここはノーミスでしっかり取りたい。
[2] データの活用。新課程で高校数学Ⅰから下りてきた四分位範囲と箱ひげ図。出題を見越してよく準備した生徒が多かっただろうし,設問は平易なので成果を出しやすい。
[3] 2乗比例関数。問2が上の「予想と説明」。
[4] 平面図形。問2が上の「予想と証明」。しつこい。[3]の問2の(2)で「説明しなさい」とあるのに本問の(2)では「証明しなさい」となっているのは,何か理由があるのか用語が混乱しているのか。
[5] かつての裁量問題的な小問集合。問1は三平方の定理と相似,問2は整数・平方根と確率を合わせたもの。難問はなく,[4]までを手際良く解いていれば時間はたっぷりあり,実力どおりに得点できたのでは。

■英語
リスニングの重みが増した。自由作文が多いのも気になる。コミュニケーション力重視の方向に沿ったものであろうが,読解の部分が減っているのはいいのか。昨年度までの裁量問題では1ページ分の長文が 2つあったが今回は 1つになり,軽くなった印象を受ける。読解力や思考力の涵養にシワ寄せはないのだろうか?(あるだろう)
[1] リスニング。昨年までは小問数9,配点25%(60点満点中15点)であったが,小問数は12,配点は35%(100点満点中35点)と急増。問1と問2が1回ずつしか読まれないのはリスニングの時間をほどほどにして小問数を増やすためか。これらは難しくはないので,受験生は特に困りはしないようである。
[2] 昨年度までの標準問題[2]に相当する大問。ごく基礎的。問3は自由作文だがごく易しい。
[3] 昨年度までの標準[3][4]=裁量[2][3]を合わせたようなつくり。Aは案内図を見て答えるもの。問2は I want to use … または I want to go there by … と始めることができれば書ける。理由も含めて1文で書けとの指示に注意。Bは半ページの感想文の読解。問3では疑問文に動詞 tell が遣われているが,正答例は本文に即して She says … となっている。本文をそのまま遣えばそうだろうが,それはアリなのか?とモヤモヤした生徒も多かろう。疑問文に合わせて tell を遣うなら She told him … としなくてはならないが,ここで him を書き忘れて減点された生徒がかなりいそう。Cは1ページの対話文の読解。web meeting や AI ,drone といった今時のテクノロジーが出てくる。読解はやや難かも知れないが設問は平易。
[4] 英作文。昨年度までの裁量[4]Bを拡張した感じのもの。 (1)自己紹介 (2)自分が経験した「いい話」 (3)感想 の3つに分かれている。(1)と(3)はいいとして,(2)で困った生徒が多かっただろう。自分が何か人のため役に立てたエピソードを書けということだが,仮にそういう経験があったとして入試の現場で咄嗟に記憶を呼び覚ますことができるだろうか。さもなくば創作してもいいわけだが,そう簡単にまとまった話は作れないのではないか。そして,そういうことを要領良くやってのける力というのは英語の力とは無関係なのではないか? 採点基準を見ると,例年そうであるように「文法的に間違いがあるが内容的に理解できるものはそれぞれ1点とする」と,苦労して書かされるわりに大雑把で大甘である。こんな採点が行われているのは英語のこの作文だけであり,出題の意義が疑わしく,およそ入試として適切とは思えない。昔ながらの和文英訳や’20年の出題のようにほぼ決まった内容を不足なく英文にする形のほうが,実用性が高く作文能力も測りやすいはずである。

 

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