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塾長日記

大人もしているかも知れない理科・社会の勘違い(2) 電気自動車と燃料電池自動車

小学5年の社会科で,自動車工業について学習するところで2つ並べて出てきます。どちらも電気でモーターを動かすらしいんだけど,別の名前がついているから別の物に違いない。それぞれは何なの?とスッキリしない思いをしている子が少なからずいそうです。

工業関係の文書を見てみると,どうやら2つの語句は階層が異なります(注)。「電気自動車」は,日本では事実上「バッテリー式電気自動車」のことですが,本来は電気でモーターを回して走行する自動車一般を指すようです。その中の何種類かのひとつが「燃料電池自動車」なのであって,「電気自動車」とこれを並記するのは適切ではなさそう。ただ,世間によく知られている語句が「電気自動車」と「燃料電池自動車」なので,小5社会では2つ並べているのだと思います。教科書の執筆も苦しいのかも知れませんね。

電気自動車(英語名Electric Vehicle,略称EV)
電気でモーター(電動機)を回して走行する自動車。主なものを以下に挙げます。

1) 発電装置を内部にもたないもの

バッテリー式電気自動車(英語名Battery Electric Vehicle,略称BEV)
 車載のバッテリー(蓄電池)に充電された電気エネルギーでモーターを回して走行する。充電スタンドで充電する充電して動かすという点ではコードレス掃除機などの家庭電化製品と同じ。「電気自動車」としては近年もっとも普及しているタイプなので,世間ではこれを単に「電気自動車」(EV)と呼ぶことが多いようである。だから上記のような混乱が生じ,子どもを困らせる。

架線集電式電気自動車
 電車のように,架線から電力を受け取って走行する。古くからあるトロリーバスはこれ。

2) 発電装置を内部にもつもの

燃料電池自動車(英語名Fuel Cell Vehicle,略称FCV)
 車載の燃料電池で発電し、その電気でモーターを回して走行する。燃料電池は水素と酸素に反応により電気エネルギーを得る装置で,水素は水素ステーションで補給し,酸素は空気中から取り入れる。反応ではエネルギーのほか水が生じるだけなのでクリーンであると言われる。

ソーラーカー(英語名Solar Vehicle)
 太陽電池で発電し,その電気でモーターを回して走行する。ソーラーカーによるレースが行われている。

ハイブリッド車(英語名hybrid vehicle,略称HV)
 2つ以上の動力源を持つ自動車の一般的な名称。日本では普通,エンジンとモーターを2つの動力源とするものをいう。エンジンで走行するときの回転軸を発電に利用するものが多い。運転するときの条件によってガソリン(エンジン)のみ,電気(モーター)のみ,両方を同時に使って,などの走行のしかたがある。

…というわけで,いわゆる「電気自動車」は充電スタンドで充電。「燃料電池自動車」は水素ステーションで水素を補給。ここを押さえておきましょう。

注)たとえば「哺乳類」「鳥類」「魚類」は対等ですが,「動物」はひとつかふたつ階層が上の語句なので,「動物」「鳥」「魚」と並べるのは適切ではありません。それでも世間には<動物=哺乳類>のような認識の人が多いのであまり混乱は生じないようですが,子どもは理科の学習で階層をしっかり理解しなくてはならないので,大人も協力してあげてほしいものです。

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