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学習のヒント

まとめの方法

 理科や社会科は内容によって得意・不得意があるのが普通ですね。不得意の克服のために新しい問題集を買って始めるという方法もありますが、これは実はうまくない。勉強が足りない状態で似たような問題に何回挑戦しても、解けるものは解けるし、解けないものはやっぱり解けないだろう。それよりも、解けない問題の周辺を含め紙に書いて整理すれば、ぐんと効果が上がるはずである。
 …ということを中3生にはよく話すのですが、「まとめ」に関しては様々なノウハウがあり、とても一度では話し尽くせません。また、文章にしておけば多くの生徒に役立つはず。そこで「まとめ」に関する様々な工夫を紹介します。 【『神谷塾だより』に連載したものに加筆修正しました】

1 紙とエンピツ
■用紙
 「まとめノートを作る」のが目的であればルーズリーフが便利だろう。ファイリング用の穴は開いているし、ページの並べ替えや差し替えが簡単で、紙も無駄にならない。ただし、まとめの目的はキレイなノートの作成ではなく「頭を整理する」ことのはず。だから、テーマ別に大事なことを書いた紙が束になっている」状態を想定して始めるのでも十分。初めは数枚の紙をクリップで留めておく程度でも、それは立派な成果だ。むしろ「量が増えてきたし、そろそろファイルしておくか」という段階になってから、おもむろに適当なバインダーを買ってきたりするのがいい。用紙はノートの断片・レポート用紙・グラフ用紙…とばらばらでいいが、大きさ(B5とかA4)は同じにしておいたほうが便利。実は、罫線も方眼もない、コピー用紙のような<真っ白な紙>が最も便利なのかも知れない。(詳細はその2:「何も見ずに書く」で)
■筆記具
 カラフルに書くのは楽しい。「重要語は赤で」と決めてやるのもいいだろう。だが、そこをぐっとこらえてエンピツだけ(黒一色)でどんどん書いていくのを勧める。これまた「何も見ずに書く」と関連するのだが、いま整理しようとするのは他でもない自分自身のアタマのためであって、誰かに仕上がりを評価してほしいからではないはずである。キレイに書こうとすると時間がかかるわりにたいした勉強になっていないことも多い。また重要語を色分けするにしても、レベル別に赤・青・緑などと決めると逆に「これはどの色がふさわしいだろう」などと要らぬ気づかいをすることになる。そうでなくともペンを持ち替える際に思考が寸断されてしまう。そもそも重要度赤のものはもう頭に入っているだろうし、むしろ頻出ではないが理解不足でキケンな感じがするものを赤字にすべきなのだ。書き始めたらなるべく中断せずに書けるだけ書く。「ここがわかってなかった」とか「いつも間違える」という箇所には、下線を引けば十分。着色はあとですればいいのである。
【第194号 2013年4月22日発行】

2 何も見ずに書く
 たとえば、古代から現代までの中国と日本との関係を1枚の紙にまとめよう、と思ったとき、何を用意しますか。教科書、参考書、歴史資料、用語集…と、とりあえず全部広げてみますか。勉強している気分にはなる。しかし、仕事ははかどるだろうか。
 前回書いた、紙とエンピツ。最初はこれだけでいい。紙はなんでもいいが、できればコピー用紙のような、罫線も何もない、真っ白な紙。どこからでも、体裁を気にせずにとにかく書き始められるから。これでまず30分、勝負してみよう。自分の頭の中にあることがらを絞り出してみるのだ。
 レイアウトとしては、古いほうを上にして縦に並べるのがよさそうである(紙を縦に使う場合)。中国のほうが先輩だから、殷から順に王朝名を書いていく。次は周。すぐに春秋戦国時代になって、次は秦。すぐに漢。前漢と後漢の間は何だっけ?…そこは空けておいて※、後漢の次に三国時代と書く。隋・唐の前は何?また空白※。でも構わずに進める。日本との関係が記録に残るのは前漢から。前漢の横に「100余国」などと書く。後漢の横に「奴国から使節」、三国の横に(魏)として、「邪馬台国から使節」。中国の王朝が元・明・清と続くころは、大雑把に言って鎌倉・室町・江戸と対応している(「大雑把に」、です)のでだんだんやりやすくなるが、内容が多いので大変。元なら元寇を書かないわけにはいかないが、すると朝鮮半島が高麗だったことも書きたくなる。(ここで「そうだな」と合点がいかない人は、勉強しよう!)そうだ、あとで朝鮮半島のことも並べて書かなくては…!
 やがて、未完ながら日中の外交史ができあがる。何も出てこなくなったら、そこが今のところの限界(=実力)である。ちょいと甘いものでも食べて脳にブドウ糖を補給してから、今度は空白、つまり書こうとしたが書けなかったところを、参考書を見ながら埋めていく。ここで、実力がじわじわとついている感じがするだろう。このとき、全然知らなかったことを発見しても、そこに書かなくていい。いま手持ちの知識を強化することが第一なのである。目的を誤ってはいけない。発見したことは当面は自分のレベルを超えているのだから、本にチェックを入れて、後で熟読したほうがいい。(なお、中学生はさきほどの空白部※にはあまり深入りしなくてよい)
 見栄えは悪くても、気にしない。誰に見せるわけでもないのだから。それでは気が済まない人というは、後でより高品質のものにバージョンアップすることにして、デッサンのつもりでなにしろ書こう。はじめからすごいものを書こうとしても、書けないものだ。また、結局このデッサンがあとあとまでいちばん便利だったりする。
 非常にまずいのは、「要点整理」みたいな形ですでに誰かがまとめたものを、ほぼそっくりそのまま左から右へ書き写してゆく、という方法。これは体裁は整っているし早く終わるが、勉強した気になるだけでぜんっぜん実力がつかない。自分の頭を使ったことにならないし、「要点」以外の部分に目が行かないからだ。苦労は多くても手づくりがいちばん自分のためになる、と強調しておきたい。
【第195号 2013年5月20日発行】

3 間違えたところから書く
 たとえば歴史のまとめをするときには古代文明から順番にやりがちですが、これは実はとてもまずい。参考書を横に置いて始めると、参考書がそのような編集になっているのでそうなってしまうわけだ。しかし、その方法では途中で飽きてしまって、入試に必ず出る近代・現代までとうてい到達できない。入試に出にくいところほど詳しくて、出やすいところほど尻すぼみに不勉強になる…では困りますね。多くの人は近代・現代が苦 手なのだろうから、こちらから遡るほうがまだ有効である。だが、ベストではない。
 ときどき定期試験や模試がある。その試験で「全く無知ではなかったけれど、理解が中途半端で満足に得点できなかった」という部分がきっとあるだろう。今のうちにそこを整理して完璧にしておけば、次回出題されたときにはどんな問われ方をしても大丈夫なのではないか。全く勉強していなくてまるまる解けなかった、という部分ももちろん勉強するのだが、そこはまとめをする前に参考書などを熟読すべきだろう。知識がゼロではまとめはできない。
 そして、せっかくそこを間違えたのだから、この機会を大いに利用しよう。間違えたところの周辺を含めた拡張版のまとめをするのである。たとえば、(初歩的なことで恐縮だが)「管領」と答えるべきところを間違えたとする。まず、勉強のヘタな人は「室町幕府の将軍の補佐役は管領だ」と憶えて終わりにする。普通の人は、室町幕府の全役職を整理する。多少上手な人は、鎌倉・室町・江戸の3幕府の役職を総整理する。さらに上手な人は「名称は同じでも役割が違うもの」「名称は違うが役割は似ているもの」について確認する(心当たりのない人は、勉強しよう!)。「管領」を間違えただけなら1点か2点のことだろう。しかし、その後の勉強いかんによっては10点分にも20点分にもなりうるわけである。
 解けなかったところをこそ整理するべきなのであって、順序を気にすることはない。こういう勉強のためにルーズリーフはとても便利だし、「その1」に書いたように、ただの白紙に書いたものを束ねておくだけでもいいことになる。
【第126号 2013年6月17日発行】

4 「書いたものを憶える」のか
 まとめをしようとするとき、たいていの場合、それは何かに書いてあることですね。それをなぜ自分でわざわざ書くのか?…と考えてみると、それは書き(描き)ながら考え、整理・記憶するために違いありません。手を動かしている最中は脳も活性化している。一方、書いてしまったものを「目で追う」という仕事は、“作品”を楽しむためであれば良いが、記憶するためにはあまり向いていない(どころか、眠くなってくる)。また、「憶えるのは書いた後で」という姿勢でやっていると、書いている時には身が入らないうえ、「キチンと仕上げる」ことに気持ちの重心が移ってしまって、効果が上がらないわりに時間ばかりかかるものだ。
 書く過程こそが勝負。極端なことを言えば、書いてしまったものに用はない。捨ててしまってもいいくらいである。したがって必要以上にキチンと書く必要はないことになる。また、書店で売られている『要点整理』みたいなものとか、誰か(教師とか)がまとめたものには大した価値はないことがわかるだろう。「自分もそういうものを書いてみよう」という気にさせてくれる、という一点を除いては。教師が多くのことを記憶しているのは、授業の準備として、または生徒に配るために、まとめを自分の頭でしているからである。
 自分で書いた“作品”に愛着が湧き、それを持ち歩いたとしても、「持ち歩く」だけになりがちだ。「気の向いたときにぱらぱら眺める」のでも不十分である。眺める時間があるなら、もう一度書いたほうが良いだろう。そのためにいつもメモ用紙を持っていると良い。
 「書いたものを憶える」方式に向くのは、ノートの1ページを使うような大きなものではなく、公式や頻出事項または盲点をワンポイントとしてカード化したものである。これらは、「憶える」というよりは、もう頭に入っているはずの事柄を試験前日や開始直前にチェックするのに有効だ(切羽詰まっているので頭がよく回る)。それで受験を控えた中3生にはよく勧めているである。少し例を挙げておくので、やってみてください。
 ●数学 「扇形の面積と円錐の側面積」「平行四辺形になる条件」「平均値・中央値・最頻値」「二次方程式の解の公式」
 ●英語 「one of the 最上級+複数名詞」「比較級 than + any other 単数名詞」
 ●国語 「よく間違える漢字」「副詞と連体詞」「未然形+『ば』で仮定、已然形+『ば』で確定」
 ●理科 「化学式や化学反応式」「実験器具の使い方」
 ●社会 「輸出品目別ランキング」「重要な事件の年代」
 なお、もうひとつ「書いたものを憶える」方式で効果が上がるとすれば毎日欠かさずにやる場合。毎日何度も見て網膜に焼き付けるのだ。この目的に適うという点ではトイレの壁に勝る位置はないと思いますね。家の中で唯一「どうしても見てしまう場所」だから。だまされたと思って、たとえば日本地図を貼ってみませんか。
【第198号 2013年8月19日発行】

5 テーマをさがす(高校生の場合)
 この項はたまたま高校生物の話題ですが、自分の受験に合わせて化学だとか中学理科・社会のことだと思って読んでください。この次の6項も同じです。
 たとえば(この段落の内容ちょっと古いです。悪しからず)北大理系前期の『赤本』を見ると、生物では100字程度までの論述問題でこんなテーマが並んでいます--「細胞分裂の観察とDNA量」「カイコガの配偶行動」「群落の遷移と火山灰地」「作物の発芽・成長と光合成」などなど。大学は、こういうテーマに対して理路整然とした、とはいかないまでも、せめて勉強の跡が見える説明のできる学生をほしがっているわけです。
 生物に限らず、君たちが論述がイヤなのは、対策らしい対策をしていないから。受験生は大体そんなものだが、だからといってそれに付き合ってはいられない。他の連中を実力で上回らなくては受からないのだから。積極的に論述対策をし、そこできっちり得点できるようにしておくべきである。図解せよという問題もあるので、それを含めて論述向けの、つまり「まとめ」的な勉強に時間を割くのが、作戦としては有効だ。そうするうちに知識の断片がつながって体系化されていく。一問一答なら楽勝になる。
 勉強といえば教科書や参考書を広げることだ、という信仰からは一度自由になってほしい。生物を選択した人は、「興味があるから」とか「将来の学問に必要だから」といった理由があって選んだのだろうね。ならば、明けても暮れても生物のことに思いを馳せている…ようになれないだろうか。高校3年の理系クラスなら、いつも何か計算している数学少年か少女が教室に一人や二人いるに違いない。彼らはその問題(テーマ)をモノにしたいので一日中でもそれをやっているし、問題によっては何日がかりかで仕上げたりしているわけだ。君がそこまで数学が好きでないとしても、生物で似たようなことができないか。数学少年少女たちの修練のネタは問題集や雑誌だから、生物少年少女も問題集からテーマを探せばいい。志望校の過去問も調べてみよう。3項「間違えたところから書く」を思い出してもらえば、模試の見直しもしなくては…という気になるだろう。
 最初は字数を考えずに、書くべきだと思うことを書く。次にそれを絞っていく。半分に、さらに半分に、と要約していくのである。この作業には実力がいるし、やっているうちに実力がついていく。今日はこれについて整理しよう、と思ったら、その日は(生物論述対策としては)それに集中すればいい。いま高3の秋だとすると、共通テスト前後を除いて2次前期試験までまだ100日くらいはあるのだから、1日1テーマで100テーマできる。すごいなあ。問題集から拾うだけでは限界があるので、慣れてきたら自分でテーマを考えよう。生物の親しい先生に添削してもらうのもいい。選んだテーマがピント外れでないかどうかもチェックしてくれそうだ。
 そのうちに、ある程度の知識が頭のヒキダシに整理されている状態になる。「○○について論ぜよ」と問われたら、「よしきた」とばかりにテキパキと対応する。論述のツボは基本事項のはず。毎日やっていることだから、入試でもすいすい書ける。そういうレベルを目指そう。--こういう点で生物は確かに入試対策がしやすい半面、勉強量が相当にものをいう科目のようですね。
 自分で問題をつくる勉強は楽しい。楽しい上に実力もつくとなれば、やらない手はないと思いませんか。
【第48号 2003年10月27日発行】

6 テーマをさがす(中学生の場合)
 その2「何も見ずに書く」で外交史のことを書きました。ぜひ実行してみてくださいね。歴史の場合、わりあいよく勉強している人でも、普段は時代ごとの整理(ヨコの整理)に終始していることが多いだろう。そこを発想を変えて、外交なら外交、農業なら農業、というように歴史全体を通したテーマ別の整理(タテの整理)をしてみよう。たとえば、こんなテーマが思いつく。
 ●政治家とその仕事 ●法令 ●戦乱(よく2つセットになっている) ●外交(中国・朝鮮) ●外交(欧米諸国) ●条約  ●農業技術 ●農業制度 ●経済(農業と一緒にやるといい) ●宗教(おもに仏教) ●書物 ●その他の文化…などなど。
 勉強のはじめの段階ではヨコの整理が中心になるのだけれど、それだけでは知識はなかなか定着しない。ヨコの糸にタテの糸が組み合わされてこそ、しっかりした歴史の知識になるのである。
 やってみるとわかるが、あるテーマに沿って整理をしていくと、それで一度歴史全体を復習することになる。テーマを替えて整理するたびに全体を通した復習をするので、ものすごく見通しが良くなっていく。しかも、ひとつひとつの復習が重要なポイントを押さえたものになっているはずである。似たような問題集を何冊もやる気はしないだろうし、やっても大した成果は上がらないものだが、これだと短い期間でめきめき実力がつく。問題集を解くというのは結局受け身の勉強であるのに対し、自分で内容を決めてする勉強は、やっている最中に脳がものすごく活性化しているのである。
 地理もやってみよう。まず世界地理は
 ●山脈・平野・河川 ●気候帯 ●3大宗教+1 ●小麦の産地 ●米の産地 ●酪農地帯 ●地下資源の産地 ●重工業地帯…など。
 歴史ほどきれいなタテの整理にはならないが、「それはやっておかないとマズイな」と思う人は多いだろう。次に日本地理は
 ●山脈・山地・河川・平野・盆地 ●気候 ●農業・畜産業 ●工業地帯・地域 ●貿易 ●政令指定都市と地方中枢都市…など。
 日本の農業でも、とくに君たちの頭の中がぐちゃぐちゃになっていそうなのは野菜の栽培に関することだが、これは対になっているものをセットにして整理するといい。つまり、抑制栽培-促成栽培、近郊農業-輸送園芸農業、施設園芸農業-露地栽培、といった具合だ。果樹ならミカンとリンゴはかなり対照的。こういうことを地道にチェックしていかないと、得点はなかなか増えないものだ。
 社会科全体では、ASEAN、GHQ、GDPといった略語30~40くらいの知識が高校入試では必要だから、これも整理しておきたい。整理したらトイレの壁に貼ろう(家族にも感謝されるにちがいない)。
 今回は社会科について述べたが、「テーマをさがす姿勢」は他の教科でも重要だ。理科ならたとえば「化学式」や「化学反応式」、英語なら「be動詞を使う文」や「よく使う前置詞」など。数学や国語でも工夫できるにちがいない。

 終わりに、これまで述べてきたテーマをまとめて挙げておきます。これらを参考に、自分なりの方法もぜひ開発して、実りある勉強を続けてください。

 エンピツだけでどんどん書いてゆく
 何も見ずに書く
 間違えたところから書く
 書く過程こそが勝負
 自分でテーマをさがす

【第199号 2013年9月9日発行】

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